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豊かな森へ Part5 悠久の森づくり

 ロキシーとはネパール語で焼酎の事を言います。ヒルは英語で丘ですから、直訳すると「飲み助の丘」と言うことになります。  ロキシーヒルに来る人は、森づくりを楽しみながら焼酎を飲んで交流を深めています。
 私は、農業を長く続けていましたが、材価低迷で人の手が入らず荒廃の一途をたどる森林の惨状を心配しておりました。
 そんな時、ジャン・ジオノの「木を植えた男」という絵本に出会いました。羊飼いの男ブッフェが荒れ果てた大地に一人で黙々とカシの実などを何十年にもわたって植え続け、荒野はやがて緑豊かな森に変わり、そこを離れていた住民の子孫が次第に戻って来るというストーリーです。私はこの絵本に衝撃的な感動を覚えました。
 1998年森づくりに着手しました。私の考えに共鳴する個性的なスタッフ十名、その個性と特性に応じて、植林担当理事、炭焼担当理事、広報担当理事、野外教育担当理事、文化担当理事等々たくさんの理事がそれぞれの部署を守っています。

 ロキシーヒルには憲法があります。
 「まず木を植えよう。木を植えたら手入れをしよう。ヤマザクラが咲いたら花を見て楽しもう。そういう自然を自分たちの手で取り戻そう。」とあります。
 豊かな森とは、いつまでも収入と楽しみを生み続け、動物にも植物にも素晴しい環境を与え続けるような森です。
 私は当時、一五ヘクタールの杉・ヒノキの人工林を持っていたので、スタッフの皆さんと七割を択抜してその跡地に、ヤマザクラ・イチイガシ・アラカシ・シラカシ・ウバメガシ・モミジ・ケヤキ・ヤブツバキ・イチョウ等の落葉広葉樹を植えて混交林づくりを進めています。
 ロキシーヒルでは毎年、植樹祭、育樹祭を行っています。昨年は、悠久の森づくりボランティア全国大会の第一分科会の会場になり全国の人々と森づくりや環境教育について交流ができました。心から感謝しております。

 ロキシーヒルには規約があります。
 第二条「この会は山を愛し、自然を愛する者が山小屋ロキシーヒルを拠点に、さまざまな自然の恵みを享受しながら自由闊達に交流の輪を広げ、新しい生き方を創造していくことをその目的とする。」
 第三条「この会は目的達成の為、次の事業を行う。」
 (1)緑化事業(混交林の植樹、及び育樹)
 (2)青少年健全育成事業(夏季キャンプ・マウンテンバイク)
 (3)国際交流事業(ネパールの森づくり)
 (4)文化活動(炭焼・薫製づくり・広報誌発行)

 ロキシーヒルがこれから特に力を入れていくのが、森を使った環境教育です。「沈黙の春」で有名な、レイチェル・カーソンがそのエッセイ、「センス・オブ・ワンダー」の中で「知ることは、感じることの半分も重要でない。」と言っています。
 ロキシーヒルには、年間を通じて多くの子供達が来ます。山での子供達は、目が輝いています。普段、鍬などあまり持つことがない子供達が一生懸命汗をかきながら木を植えている姿を見ると森には何か教育的な機能があるように思えます。
 木を植える行為は、何よりも自分の為になる。
 植樹や育樹に汗を流すことは健康に良く、精神的な潤いも得られると思います。
 自分の植えた木がたくさん育つことは、愛する妻や子、さらには子々孫々にまで森の恵みをもたらします。
 豊かな森には小鳥たちがさえずり、カブトムシやクワガタ・チョウチョ・トンボが多数生息しています。
 森の落葉で出来た腐葉土は「緑のダム」として雨水を一時蓄え、それを浄化し、そこで出来る植物プランクトンは、色々な生き物を育て、魚がたくさん生息する、豊かな水流の川を育ててくれます。

 今問われているのは、人間と自然の共生だと思います。
 子供達には、自然の中で不思議さと神秘的な出来事を体感して、自分達も「生きもの」の一員としての感性を磨く場所にして欲しい、また大人も一緒に木を植え育てることで子供と同じ自然の恵みを享受して欲しいと思います。これからの時代を担う子供達のために、実体験を取り入れた教育こそが、大切だと思います。  NHKの朝のテレビドラマ「わかば」にロキシーヒルのツリーハウスが登場し私も瞬く程度出演しました。緑をテーマにした、緑を広めることに夢と人生を懸けるヒロインの楽しい番組です。是非見てください。

「みやざき悠久の森づくり県民のつどい」体験発表より

 
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